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鼻の中が臭い。
三宮で普通列車に乗り込むと、なんともいえない匂いが漂っていた。
「この電車なんでこんなに臭いの・・・」と他の客もつぶやいている。
日陰側の席を選び座りかけたものの、シートが汚れているのかと思い、匂いの薄い
ほうへ嗅覚を頼りに移動してみた。
走り出した電車にふらふらとよろめきながら、匂いを発している汚れがないかと周
囲を見回すと、車両の後方のシートにぼさぼさの物体が見えた。
裏起毛になっていそうな黒い長ズボンに、ファスナーの開いたままのたぶん黒かっ
たであろうショートブーツ。
シートの手すりに半分隠れて見えない体の部分もやはり黒い長袖のジャージかジャ
ンパーで、居眠りしているのか長髪の頭が前に垂れている。
コイツか・・・。
何人かの客が気がついたらしくそっちの方向から歩いてきて前の車両に移っていっ
た。
私も耐える理由が無いと判断し、それに続いた。
前の車両はいつもの電車の匂い。意識して嗅いでいたわけではないが、ああ、この
匂い。なんて懐かしい・・・。
私が移った前の車両は1両目で、何も知らない運転手の背中が見えている。
「車内で異臭などを感じた場合は、車掌にお知らせください」と壁のシールには書
いてある。
しかし、この場合はどうなのだろう。他の客の迷惑になっていることは確かだ。し
かし、車掌が見に来て彼を発見したとき、対処に困るに違いない。
「クサッ!」 これはない。
「お客様、匂いがひどいので降りていただけますでしょうか」 だと人権問題に発
展しかねない。
「お客様・・・」 何といえばいいのだろう。
「お客様、お風呂にお入りください!」
無理だけどこれが正解だと思う。
迷っているうちに目的地の駅に着き、どうしようもないので通報せずに電車を降り
た。
こんなことで電車を止めてしまってはいけないのだ。
しかしまだ鼻の中が臭い。





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