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シリーズもの「ヲタファンタジー」始めます。
■Channel MAID MIX 1. a-1/c-1

ベリーショート
■ぼくは人をたすけない

KINO.Site TEXT1のコーナーでどうぞ。



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敗北を認めました。 更新しました。


更新というよりも復旧かもしれません。

HPの方の、
テキスト1のカテゴリに、文章を復活・追加しました。
昔からのお客様はご存知の作品ばかりですが、ちらっと見て懐かしんでもらえれば。




HPに「マグプレで買って」ってだけ書いてあるのも淋しすぎるしねー。

読まれて何ぼだし。
勝手に転載されたらコロス怒るけど。



何かに転載したいときは、お知らせ下さい。
よろしく。
「こいつ、自分の家に火をつけたことがあるんですよ」
TVのCM、バラエティ番組の内容をちらりと流している。
お笑いの相方に暴露された男は、苦笑いしている。


―何で火をつけたんだろう

と思ったとき、忘れていたことを思い出しました。
本当は忘れちゃいけないことなんだけど、安全に暮らしているとつい忘れてしまう。



幼稚園に上がるよりも前のことだと思います。
私が住んでいた家には、サザエさんちのように、台所の流しのそばに勝手口がありました。
その日は天気が悪かったのか風が強かったのか、それとも母が忙しかったのか、花火を勝手口でやりました。
それまでもたまにそういうことをやっていたと思います。
上がり口にしゃがみこんで、土間に向かって花火を散らすのです。
私が花火で遊ぶときは、火種はいつもろうそくでした。
たぶんそのときも、そばに火のついたろうそくを立てていただろうと思います。
水を張ったバケツもそばに置き、そして母が必ずそばにいたのに、その日だけはなぜか、はじめたとたんに母が他の部屋に行ってしまったのです。
私は(自分で言うのもなんですが)しっかり者と思われていたので、ちょっとなら目を離しても大丈夫と、母は思ったのでしょう。
私も、ほとんど毎日のように花火をさせてもらってすっかり慣れていたので、母がいなくても怖くありませんでした。
私はろうそくの火を花火に移し、火花を飛ばしながら思いました。

―この色とりどりにはじけているものも、ろうそくの火と同じものじゃないのかな

勝手口には古新聞が積んであり、私は消えてすぐの燃えがらを押し付けてみました。
炎は消えたままでした。
次の花火は線香花火で、じりじりと小さな音を立てるオレンジの球を、消える間際にぽとりと新聞の上に落としてみました。
新聞は丸くこげた跡がつきましたが、炎を出すことはありませんでした。

―もっと盛んに燃えている時に落とせば・・・

私は少しずつ落とすタイミングを早めました。

そして、とうとう、新聞に炎が見えました。

―やっぱり、花火でも紙に火がついた。

仮定が証明されて満足する暇もなく、新聞は勢いよく燃え始めました。
最初はマッチ棒の先くらいの炎だったのに、あまりに早い火の回りに私はびっくりして声も出ませんでした。
炎はめらめらと勝手口のドアをあぶり始めました。

―こわい!どうしよう!

そう思ったときに母が飛んできてバケツの水をかけて火を消しました。


ドアは黒くこげた跡がつき、それから花火は必ず外に出てやるようになりました。
一大事になったかもしれないということは、子どもの私にもよくわかりました。
だけどこのとき、私は怒られた記憶がありません。
きっと母が、子どもに火を持たせたままで目を離した自分の落ち度であると思ったのでしょう。
たぶん、子どもを叱るより、子どもも家も無事ですんでほっとしたという気持ちのほうが強かったのでしょう。



去年だったか、母にそのときのことを話したことがあります。
「今だから言えるけど、火がつくんじゃないかと思って自分で新聞に花火の火を落としたの。ごめんなさい」

母は言いました。
「ちゃうよ。あれは、ろうそくが倒れて火がついたんや」



私はまたまた謝り損ねて、心の中で母に頭を下げました。

皆様お久しぶりです。
ええ、私は元気にお仕事、あそこで続けております。
だけど、親しい方もあまりいらっしゃらなくなってしまったので、お辞めになった皆様と、こうやって時々お会いしてお食事するのを、とっても楽しみにしておりますのよ。
山井さんですか?今日は後からいらっしゃるの?あら、おいでになりませんの?残念ですわ。
まあ、きっとこの前の集まりで、ひとりだけご都合が合わなくて欠席されたのを、まだそんな風にすねていらっしゃるのですね。
あの方は、ちょっと変わった方ですわね。お仕事はとても真面目になさっているけれど、事務所で目が合ってもにこりともなさいません。
まるで私のことを知らない人だというように、怖い顔でちらりとご覧になるだけですわ。
先日、お仕事の帰り、お買い物をしてから駅に向かいましたら、外車のショールームの前であの方とばったりお会いしましたの。
私は会釈をして「おつかれさまでした」と挨拶いたしました。
あそこは国道沿いで、車の往来が激しいので、ちゃんとあの方に聞こえるようにと、恥ずかしいくらい大きな声を出しましたのよ。
幸い人通りが絶えて、前後を見ても私たちしかおりませんでしたから、勇気を出してそういたしましたの。
だって、ただでさえ知らん顔なさる方ですもの。大きな声ではっきり声をかけなければ、きっとあの方はまた無視なさるに決まっていますもの。
ところが、その日もまた、いつもと同じように怖い顔で視線をするりとよそにお向けになって、また私には挨拶してくださいませんでした。
私は思いました。

「ウラッてめえ、ナニサマだと思ってやがんだ。いつもいつも偉そうなツラしてシカトしやがって。頭つかんで無理やり土下座さしたろか。舐めとったらあかんでゴラ」


あらいやだ、言っておりませんわよ。そんなはしたない言葉で人を罵るなんて、私は断じて致しませんことよ。
そんなに驚かないで下さいな。だって私は文学少女なのですから、私の使わない言葉でも、いろんな言葉を知っておりますのよ。小説の中にはいろんな人物が登場しますものね。
もしも私が私でなければ、そんな風に怒鳴りつけただろうという、たとえ話ですのよ。あまりに汚い言葉で驚かせてしまってごめんなさい。どうか本気にとらないで、軽く流してくださいませね。
文学少女は何にだってなれますのよ。女優のようなものですわね。いいえ、女優は台本にある言葉を読むだけですが、文学少女は台本も自分で作ってしまいますのよ。なんて幸せな才能なんだろうって、わたし自身時々うっとりいたしますの。それというのも、いままでに読んでまいりました数々の文学作品が、私の聡明な脳の中で熟成され、私の血の一部となっていつも体中を流れているせいですわ。おかげさまで私はどんな場面においても、その場にふさわしいセリフを即座に
え?あら?どうなさいましたの?皆様もうお帰りになるのですか?
あ、まって、まって、ごめん、調子こきすぎた。アタシが悪かった。もうやらないから許して。
おいっ!冗談がきついぞ。こら、レシート!もってけ!こらぁ!お前ら、あとで覚えとけよ!倍返ししてやっからな!おいっっ!!!

ハルカの中学では、トランプが流行っている。
もちろん、トランプの持ち込みは校則違反だが、みんなトランプが大好きだ。
先生の足音がしたらサッと隠してごまかす。
見回りのない体育系のクラブハウスは、遊び放題だ。

最近流行っているのはスピードというゲーム。
赤と黒に分けたカードを、ヨーイドンで場の上に重ねていく。
場の前後の数字を乗せていき、早く手持ちがなくなったほうが勝ち。
最初は勝ち負けだけでやっているが、そのうち何か賭けたくなる。
学食のラーメンであり、ジュースであり、そして、「秘密」であり。

ハルカは「好きな人の名前を言う」という賭けをした。
相手は澄んだ鶯色がかった瞳の美少年、タケシだ。
いつもヒトのおしゃべりにグサッと刺さるようなツッコミを入れるタケシが一体誰を好きなのか知りたいと、ハルカの友達が言っていたからである。
ハルカは?
はっきり言ってどうでもよかった。
美少年だがちょっと小ずるそうなタケシを、ハルカはあまり好きではなかったし、ハルカの今の興味は、深夜ラジオに出ているミュージシャンや、買ってもらったばかりのフルートのことだったから。

バタバタと荒っぽくカードを乗せていく音がやみ、3回勝負の決着がついた。
タケシはにやっと笑って、
「さあ、言ってもらおうか」と澄んだ目でハルカを見つめた。
「いまさら言わないとかは無しだぜ」
参ったな、こんなはずじゃなかったんだけどな、と思っているハルカに向かって、タケシが促した。

ハルカは考えた。
好きな人ねえ・・・・。
好きなタイプは?と言われれば、高等部のあの先輩。
だけど名前がわかんないんだよな・・・・。

ハルカの中学は、こじんまりした六年一貫校で、同じ校舎内に中高が同居していた。
中2の教室の前の廊下を反対の端に向かってずんずん行くと、高2の教室が並んでいる。
中間あたりに本部棟が連結していて、中学生も高校生もそこを通って、向こう側にある理科室や家庭科室などの特別教室棟に移動する。
時々見かけるその先輩は、ハルカから見るとかっこいいお兄さんだったが、他の女の子のように話しかけてみることもなく、今タケシに「好きなのは誰?」と強いて言われたら思い浮かぶ程度でしかなかった。
「芸能人とかも無しね」
またタケシが言った。
早く言えよと口元が笑っている。
敗者に対する勝者の優越感と、人の秘密を聞き出す喜び。

ハルカは面白くなかった。
タケシに何か、小さな一撃を食らわせてやりたかった。
知らない先輩なんて言っても通用しなそうな雰囲気がそこにはあった。
そんなことを言ったら卑怯者呼ばわりもされかれないし、どのヒトだよと面通しさせられたらもっと困る。
何か・・・。何を言ったら・・・。

「そうか・・・。これが面白いかな」
ハルカはふとひとつの方法を思いついた。
その名前を出したら、タケシはどんな反応をするだろう?
照れて真っ赤になったりしたら面白いな・・・・。

「タケシ君よ。」

タケシは一瞬ウッと絶句し、そして、じーっとハルカの顔を見た。
「あ・・そう・・・・。そうくるとは思わなかった・・・。ごめん。」


結構つまらない反応だった。
だけどリアクションの少なさに反比例してショックは大きかったはず。
だってそれまであんなに嬉しそうにハルカの答えを待っていたのだから。
相手の名前を聞き出したものの、今後冷やかして遊ぶという楽しみも期待できず、タケシはがっかりしていた。
女の子に好きと言われてしまったが、タケシのほうは全然その気がないから嬉しくない。
ゴメンナサイと気持ちを伝えると、この子はきっと傷つくだろうなあ・・・。
冷淡人間の気があるタケシが、そういう風に困ったかどうかはよくわからないが、結局、タケシもハルカも同じくらい「なんだつまんないの」と思っていたに違いない。

次の日から、ハルカは敗北1の肩書きを背負うことになった。
「タケシ君のこと好きだったなんて・・・・」
友達が同情の目でハルカを見たけれど、ハルカにとっては他人事みたいでピンとこなかった。

タケシはその後、ハルカの友達と賭けをして負け、好きな子の名前を言わされた。
「小学校で同級生だった藤原さん」
と彼は言ったそうだ。
思いっきり卑怯じゃん。
怒る友達を見て、ハルカはふっと笑った。


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■モノカキ志望だけどハジカキの方が多そうなこの人生の「言い訳」や「いいわけ?」。

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